logo
 
 メインメニュー
 広告
社会言語学関連
多言語社会関連
sociolinguistics
language policy
三元社出版物
投稿者: webmaster 投稿日時: 2018-11-17 0:36:00 (1385 ヒット)

多言語社会研究会・第10回研究大会を以下の要領で開催します。

【日 程】2018年12月1日(土)・2日(日)
【場 所】東京大学 東洋文化研究所
【参加費】1000円(どなたでも参加できます・事前申し込み不要)
【主 催】多言語社会研究会
【共 催】東京大学東洋文化研究所班研究「アジアにおける多言語状況と言語政策史の比較研究」

【大会テーマ】オリンピック 多言語とナショナリズム

【趣旨】
 2020年の東京オリンピック・パラリンピック大会を前にして、多言語化についての議論を目にする機会が増えてきた。それら議論は、公共空間での多言語表記、公共サービスやビジネスにおける多言語対応などを中心としており、背景には、オリンピック大会に向けて増えるであろう外国人観光客に対応しよう、という発想がある。「対応しよう」と考える理由は立場(行政か民間か)によって多少は異なるようだが、姿勢は共通して積極的である。これら議論で目立つ内容を標語的に表現すると「多言語によるおもてなし、すなわち言葉のバリアフリーを通じて観光立国と多文化共生社会を推進しよう!」といったところであろうか。一連の議論について特筆すべきは、オリンピックや多言語(状況)が本来的に内包している政治性に対する徹底した無関心である。本大会1日目は、こうした議論とは逆に、オリンピックや多言語(状況)についての政治性を正面からあらためて問う場としてみたい。


【プログラム】
12月1日(土)
13:00 開会・趣旨説明
13:20 基調講演
 小澤考人(東海大学)「オリンピックとナショナリズム再考:多言語対応の向こう側」

14:20 報告1
 藤井久美子(宮崎大学)「オリンピック開催と多言語対応―東京と北京の場合―」

14:50 報告2
 塚原信行(京都大学)「バルセロナオリンピックの言語的レガシー:マイノリティ言語とオリンピック」

15:20 休憩

15:45 パネルディスカッション
 「オリンピック 多言語とナショナリズム」
  司 会:石部尚登(日本大学)
  パネリスト:小澤考人・塚原信行・藤井久美子

18:30 1日目終了

12月2日(日)
 ラウンドテーブル「多言語状況研究の20年を振り返る」
 日本において、社会的な言語問題を取り上げる研究が増加し始めてから20年ほどが経過した。この間、多言語状況に関する研究は広がりを見せたが、同時に細分化したために全体像がつかみにくくなっているとも言える。このラウンドテーブルでは、多言語状況を研究対象の1つとして含む学会・研究会の代表者が集まり、この間の関連研究の広がりと深化について総括を試み、また、今後の研究の方向性について議論する。

09:30 原聖「多言語社会研究会創設の経緯」

10:00 ラウンドテーブル

 司会:佐野直子(名古屋市立大学)
 参加者:
  大河原眞美(法と言語学会)
  かどやひでのり(「社会言語学」刊行会)
  定松 文(多言語社会研究会)
  庄司博史(多言語化現象研究会)
  平賀正子(社会言語科学会)
  村岡英裕(言語管理研究会)
  山川和彦(日本言語政策学会)

12:30 閉会


投稿者: webmaster 投稿日時: 2018-11-17 0:35:41 (40 ヒット)

『社会言語学』XVIII(2018年)が発行されました。
『社会言語学』刊行会

論文:
NPO と言語アクセス条例
--- 米国・サンフランシスコの事例から ---
角 知行

知的障害者に分かりやすい選挙情報充実を目指す動き
--- 東京都狛江市における実践の経緯 ---
野田 実紀

駅における表示のあり方に関する考察
--- 言語サービスとしての多言語表示の今とこれから ---
野田 実紀

中学校英語教科書における「社会的な話題」
--- 視点の画一化を覆い隠す題材の多様化 ---
仲 潔

日本語教育における「期待される学習者像」
--- 〈「多様なものの見方」を提供するリソース〉としての外国人日本語学習者とテキスト ---
伊藤 創

調査報告:
情報保障に関する韓国の法制度概観
あべ・やすし

翻訳:
斎藤秀一 編『Latinigo』(1937–1938)翻訳にあたって
萩原 洋子

斎藤秀一 編『ラティニーゴ』(1937年)

書評:
暴走が加速化する英語教育
阿部 公彦 著『史上最悪の英語政策 ウソだらけの「4 技能」看板』
(ひつじ書房、2017年)
藤原 康弘・仲 潔・寺沢 拓敬 編
『これからの英語教育の話をしよう』
(ひつじ書房、2017年)
ましこ・ひでのり


投稿者: webmaster 投稿日時: 2018-8-16 16:21:50 (502 ヒット)

多言語社会研究会第77回東京例会を、下記の通り開催いたします。

みなさまふるってご参加いただきますよう、お願いいたします。

-----------------------------------------------
第77回多言語社会研究会(東京例会)
日時:2018年10月27日(土)午後2時〜6時
場所:東京大学東洋文化研究所 3階第1会議室304号室
   http://www.ioc.u-tokyo.ac.jp/access/index.html
資料代:500円

<報告1>
タイトル:塀の中の多言語世界―職業としての司法通訳を問う
報告者:高畑 幸(静岡県立大学国際関係学部)
概要:訪日外国人や定住外国人が増加するにつれ、被告人や証人など、外国人の訴訟関係者が法廷に立つ機会が増えている。国際人権規約および刑事訴訟法により、日本語を解さない被告人や証人には国費で通訳人が雇われる。法廷通訳人は法で定められた存在であり、通訳人不在では開廷できない。しかし、法廷通訳の担い手は年々減少している。それはなぜか。警察、検察、法廷などで働く司法通訳者の仕事を概観しつつ、訪日および定住外国人を言語の側面からケアする人材の育成と維持の課題を考えたい。


<報告2>
タイトル:言語権と法学的課題
報告者:杉本篤史(東京国際大学国際関係学部)
キーワード:言語権・言語政策・国際人権法・日本国憲法
概要:日本ではこれまで言語に関する政策や法令が全くなかったわけではないが、そこには統一的な言語観はなかった。例えば、刑事訴訟法175条は「国語に通じない者…には、通訳人に通訳をさせなければならない。」とする一方、176条では「耳の聞えない者…には、通訳人に通訳をさせることができる。」としている。ここでは国語とは何かを定義していないばかりか、非日本語音声言語話者に対しては通訳を必須とする一方、聴覚障害者の場合には通訳をさせることができるとして、後者の通訳を受ける権利が十分には保障されていない。なお民事訴訟法154条では「口頭弁論に関与する者が日本語に通じないとき、又は耳が聞こえない者若しくは口がきけない者であるときは、通訳人を立ち会わせる。」とあり、両訴訟法における国語と日本語の両用語の関係は全く説明がない。また文字・活字文化振興法第3条2では「文字・活字文化の振興に当たっては、国語が日本文化の基盤であることに十分配慮されなければならない。」とあり、素朴で無邪気な、だからこそ始末に負えない音声日本語中心主義が垣間見えている。しかし、これは日本国が締結している諸国際人権条約における言語権の考え方とは相容れないものであり、この矛盾はいまなお放置されたままである。例えば、障害者権利条約の署名により2011年に改正された障害者基本法第3条3で「全て障害者は、可能な限り、言語(手話を含む。)その他の意思疎通のための手段についての選択の機会が確保される…。」と規定されたが、上述の両訴訟法はこの障害者基本法改正よりも後年に改正されていながら、手話通訳の扱いには特段の変更は加えられず、公正な裁判を受ける権利としての聴覚障害者の司法通訳を受ける権利を正面から規定していない。他方、日本国は言語的少数者の権利に関する重要な国際条約である原住民及び種族民(Indigenous and Tribal Peoples)条約/ILO第169号条約や、すべての移住労働者とその家族の権利保護に関する条約等を批准していない。本報告では、このような状況下でアイヌ文化振興法が制定され、そしていま「日本語教育振興法案」や「手話言語法案」が取りざたされていることの問題点、さらには、言語権概念を日本国内法体制に受容するための条件や課題について、報告者自身が抱えている研究上の課題も交えて、現状を報告したい。


投稿者: webmaster 投稿日時: 2018-6-14 10:16:29 (219 ヒット)

多言語化現象研究会  第68回
日時 2018年7月7日(土)  午後1時30−5時15分
場所 大阪大学 言語文化研究科 A棟2階大会議室(大阪大学豊中キャンパス)
大阪大学豊中キャンパス (阪 急石橋駅、大阪モノレール柴原駅より徒歩15分)
http://www.osaka-u.ac.jp/ja/access/ (石橋よりの正面玄関よりお入りください。)
参加費 500円 (資料代ほか)  

1)報告者: 庄司 博史(民族学博物館) 1時30分−3時15分
テーマ 「観光言語学」をとりまく風景
<要旨>
社会言語学、特に言語政策論では、非主流派あるいは少数派とみなされる言語が主流派言語に対しいかに同等の地位や施策を獲得するかが関心の対象であり、それを左右するのは、双方の背景とする話者集団の力関係であった。非主流派の中心は時代とともに、地域少数言語、先住民言語から今日の移民言語にシフトしてきた。しかし近年、3000万人にも達する観光客を背景とするインバウンド関連産業の台頭とともに、言語政策(特に公共空間における言語使用)を左右する主体や主体間関係が大きく変化しつつあり、それにともない研究パラダイムも大きく推移している。2000年代初頭から前倒し的に出現している、いわば「観光言語学」ともみなせる潮流であるが、上述の研究パラダイムの変化にほとんど触れられることなく、いまや言 語景観研究や言語バリアフリー研究では「観光言語」を対象とするものが主流をなすといっても過言でない。発表では産官の前面的支援のもと、やや実務主義に走りがちにもみえる「観光言語学」をながめてみたい。

2)報告者: かどや ひでのり(津山高専) 3時30分−5時15分
テーマ 20世紀前半の日本におけるエスペラント運動の評価---人類人主義・平和主義・ファシズム---
<要旨>
日本におけるエスペラント運動は1906年に二葉亭四迷による教科書が発行されてから急速に拡大し、同年中に協会設立、機関紙発刊、日本大会開催へと至っている。1919年、日本エスペラント学会が設立されると運動は活動家個人に依存する時期を脱し、いくらかのブームと停滞をへつつ、ひろがりをみせた。1920年代に分岐したプロレタリア・エスペラント運動は1930年代前半には治安当局により消滅させられたが、以後も運動全体が継続的な監視下におかれ、1930年代中頃になると政治体制と急速に同一化を開始、1940年代には八紘一宇を連呼することとなった。エスペラント運動では19世紀末の当初より、異言語話者間の相互理解をつうじたホマラニスモ(人類人主義)思想が影響力をもち、平和主義運動とも連携、日本での運動にも直接の影 響があった。一見ファシズムと相容れないその思想は短期間のうちにファシズムへの転化をみた。戦後もエスペラント運動は平和主義の言語・運動として自己定義する潮流を維持しつづけ、現在にいたっている。こうしたねじれを内包するエスペラント運動の推移をどのように理解・記述するべきかを、20世紀末以降、基本的権利の擁護のための文化運動として再定位されたエスペラント運動の立場から検証する。
(研究会終了後、近くで懇親会を予定しています。)

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
初めてのかたも歓迎します。準備の都合上、出席の方のみ、できれば懇親会出席の有無とともに、必ずメールで事務局までご連絡ください。特に質問などない限り出席通知には受領確認の返事はしませんのでご了承ください。
研究会への連絡、質問は事務局へお願いします。
webmaster☆tagengoka.sakura.ne.jp(☆を@でおきかえてください)
多言語化現象研究会事務局:  http://www.tagengoka.sakura.ne.jp/
研究会ホームページ:http://tagengoka.sakura.ne.jp/ (新しくなりました)


投稿者: webmaster 投稿日時: 2018-6-6 23:55:14 (275 ヒット)

多言語社会研究会第76回東京例会を、下記の通り開催いたします。

みなさまふるってご参加いただきますよう、お願いいたします。

-----------------------------------------------

第76回多言語社会研究会(東京例会)
日時:2018年6月23日(土)午後2時〜6時
場所:東京大学東洋文化研究所 3階第1会議室304号室
   http://www.ioc.u-tokyo.ac.jp/access/index.html
資料代:500円


報告者1 中野隆基(東京大学大学院総合文化研究科超域文化科学専攻文化人類学コース博士課程)

「儀礼的発話としてのベシロ語の『説教』の生成と翻訳: ボリビア東部低地コンセプシオン市における歴史・文字・教育政策の交差する場で」(仮)

 本発表では、ボリビア東部低地に居住する先住民チキタノとその使用言語ベシロ語の歴史的経緯と現状についての報告を通して、独特なリズムやイントネーションの発話を伴う儀礼的なコミュニケーションであるベシロ語の「説教」が、,匹里茲Δ蔑鮖謀経緯で成立し、∈Fいかなる影響を受けながらどのように生成しているのか、そしてこのような事例が人類学の先行研究の視点によってどの程度説明可能なのか、を考えていきたい。
 .船タノとベシロ語の成立を理解するには、当地で17世紀末から18世紀中ごろにかけて行われた、イエズス会による先住民集住化政策と言語統一政策を考慮する必要がある。多様な言語やスタイルで生活を営む諸集団を前に、宣教師は布教を効率化するため、当時最も多くの話者に使用されていた言語である「チキト語」を標準語として整備し、諸集団を集住化させて一元的に「チキト」と名付けた。独特なリズムやイントネーションを伴い、在来の諸集団の首長の演説と類似したスタイルをもつキリスト教の「説教」は先住民に広く受け入れられ、後に典礼や祝祭の組織を担う先住民典礼組織により現地語で実践されていくようになる。
 △靴し、このように説明される「説教」であるが、常に変わらず失われることなく維持・実践されてきた訳では当然ない。例えば、コンセプシオン市の場合では、赴任してきた神父と先住民典礼組織の折り合いがうまくいかず、先住民典礼組織の活動は一度取りやめになってしまったという。その後、新たに赴任してきた神父と地元住民との協働によって先住民典礼組織は再生し、そして「説教」に関しても、今日「脱植民地化」を目指す政府の法整備により学校や一般労働者に対して教えられるようになったベシロ語の教員が協力・実践するなど、様々なアクターの協働によって再生してきたのである。
 K榿表では、文化人類学における知識・翻訳・言語の問題や「儀礼的発話」研究、あるいは言語人類学などの分野を参照しながら、これらの事例をどの程度説明可能なのかを検討していきたい。

キーワード ベシロ語、儀礼的発話、先住民言語政策、キリスト教、文化人類学


報告者2 藤井久美子(宮崎大学)

「東京の中国語景観」

 2020年の東京オリンピック・パラリンピックを控えて、東京では外国人観光客受け入れのための多言語対応が進展している。例えば、公共交通機関で使用される言語には英語・中国語・ハングル以外の言葉も見られるようになり、多様化が進んだ。また、表示の数も増えて、質(翻訳・内容)も以前よりは向上している。このような状況のもとで、東京の中国語景観も多数多種多様となってきているが、ここ数年に増加した多くの表示は観光客に向けたものであろう。では、生活者のための中国語景観はどのようになっているのであろうか。
 生活者という観点からは、東京の中国系コミュニティについての研究としてと、山下清海(2007)が挙げられる。山下は、第二次世界大戦後における東京在留中国人の人口変化を明らかにすることを目的として、『東京都統計年鑑』(東京都発行)と『在留外国人統計』(法務省発行)の中の「本籍地別外国人登録者」の統計を用いて、人口の推移を把握し、時期区分を行い、さらには、在留中国人の出身地についてもその推移を明らかにした。他に、陳碧珠(2006)は、東京・横浜地域における華僑・華人のコミュニティや言語生活について概観した。近年の中国での研究としては、吕斌(2017)が、日本社会の言語問題を論じるのに東京の言語景観を分析するという手法を用いている。
 本研究は、最終的には東京における老華僑と新華僑の言語生活の差異を言語景観の分析から明らかにすることを目指すものであるが、今回の発表では、まずは山下(2007)以降の人口動態を明らかにし、特に中国人の住民登録の多い区の代表的な場所(区役所・駅など)の言語景観について分析を試みる。

キーワード 東京 中国人 言語景観 オールドカマー(老華僑) ニューカマー(新華僑)


投稿者: webmaster 投稿日時: 2018-3-1 10:36:59 (1084 ヒット)

第75回多言語社会研究会(東京例会)
(東洋文化研究所班研究「アジアにおける多言語状況と言語政策史の比較研究」との共催)
日時:2018年4月21日(土)午後2時〜6時
場所:東京大学東洋文化研究所三階第一会議室
   http://www.ioc.u-tokyo.ac.jp/access/index.html
資料代:500円

報告者1:中島武史(大阪府立中央聴覚支援学校教諭)
題目:ろう学校の存在意義‐ろう児にとって、日本社会にとって‐
要旨:本発表では、ろう学校(聴覚特別支援学校)の存在意義について、,蹐児にとって、日本社会にとって、という2点から考えてみたい。ろう学校は、教育制度上の枠組みでは「聴覚の面で特別な支援が必要な学校」、つまり「聴覚障害児のための学校」というかつての障害児教育の系譜に位置する学校として一般的には知られている。近年では、インクルーシブ(包含)教育理念によって、聴覚障害児が聴覚特別支援学校ではなく地域学校園への入学または転出をする傾向が強まり、聴覚特別支援学校の在籍数は減少傾向にある。また、多種の特別支援学校と統廃合される兆候がある。しかし、聴覚特別支援学校を手話という日本語とは異なる言語を中核に運営される学校という捉え方をした場合には、ろう学校という場は、種々の課題はあるものの、ろう児にとって必須の教育機関である( 砲世韻任覆、ろう学校とそこで学ぶろう児の存在が日本社会内部の多言語性を地域の学校園に通う聴児とその保護者、地域の学校園の教育関係者らに認識させる社会的機能を発揮する可能性(◆砲あると考えられる。発表時には、主に△療世鮹羶瓦肪者の経験からまとめたい。


報告者2:田中孝史(東京外国語大学)
題目:マリ語(ウラル系)に将来はあるか?
要旨:ロシア固有のウラル系民族であるマリ人の言語、マリ語について、主に以下の3つに関して報告を行う。1)マリ語使用の現状について。マリ語そのものの紹介も含め、現在の言語使用の実態を、報告者が初めてマリを訪れた1992年からの25年間の変遷や、言語景観の紹介も交えて報告する。2)マリ語の維持に関する展望について。連邦政府による知事の任命や土地の文化と無関係な記念碑などの建設といった昨今のロシア連邦の政治的動向や、「合理化」の名を借りた民族語教育の中止、縮小などに触れつつ、今後のマリ語の維持について考察する。3)マリ語の「主要な」方言の一つである、北西方言の復興について、過去10年程度の現地の活動家が行ったことについて、マリ語が公的な地位を持つマリエル共和国外で話されている方言の復興に関わる困難について報告する。

キーワード:マリ語、ウラル系、言語の復興、言語の維持、言語景観


投稿者: webmaster 投稿日時: 2017-12-12 19:40:24 (545 ヒット)

第74回多言語社会研究会(東京例会)のご案内
日時:2018年1月27日(土)午後2時〜6時
場所:東京外国語大学本郷サテライト
   http://www.tufs.ac.jp/access/hongou.html
資料代:500円

報告者1:吉田真悟(一橋大学大学院言語社会研究科博士課程)
題目:現代台湾語書き言葉の多様性と規範形成
要旨:台湾(閩南)語の正書法を巡っては、これまでに様々な主張・実践がなされて来た。書記対象言語が(中国語との)ダイグロシア状態にあること、また使用される文字が(漢字とローマ字による)ダイグラフィアを成していることから、書かれた台湾語は複雑かつ興味深い発展を遂げている。報告者の研究は、多様性と規範形成の流れが混在する現在の台湾語書き言葉の実態を、巨視的レベル(社会の中での使用状況)と微視的レベル(文字・表記上の特徴)の両面から明らかにしようとするものであり、今回はその現時点における進捗を報告する。
キーワード:台湾語、書き言葉、ダイグロシア、ダイグラフィア、漢字

報告者2:小田 格(大学基準協会)
題目:中華人民共和国における漢語方言保護政策の諸相
要旨:本報告では、中華人民共和国(以下「中国」という。)において近年確認されるようになった漢語方言(以下「方言」という。)の保護に関する政策を取り上げる。中国では、1980年代以降、標準中国語(普通話)の普及政策の下、社会の各領域において方言の使用が制限されてきた。その結果、2000年代中盤になると、各地で方言の衰退を危惧する声が聞かれるようになり、中国人民政治協商会議地方委員会や地方人民代表大会で方言の保護に関する提案もなされたが、こうした動きに対して当局は消極的・否定的な態度を示してきた。しかし、2012年に公表された「国家中長期言語文字事業改革発展計画綱要(2012−2020年)」(教語用〔2012〕第1号)では、一転して方言をも含む言語・文字の保護に係る内容が盛り込まれることとなったのである。本報告では、こうした計画が策定された背景や各地における事例などを確認・考察し、もって方言の保護に関する政策の内実に迫ることとしたい。
キーワード:中華人民共和国、漢語方言、標準中国語


投稿者: webmaster 投稿日時: 2017-11-29 12:12:47 (255 ヒット)

『社会言語学』XVII(2017年)が発行されました。
『社会言語学』刊行会

内容:
アメリカにおける多言語サービスと言語アクセス法--- クリントンの大統領令 13166 をめぐって ---
 角 知行

駅の表示における「多言語表示」の定量的研究--- 名古屋市営地下鉄の駅を事例として ---
 野田 実紀

日本手話の解放運動は何に力を注ぐべきか--- 手話言語法案/ことばと政治性/日本手話の獲得環境とろう教育 ---
 中島 武史

言語権からみた「日本語教育推進法案」の問題点
 杉本 篤史

中学校「国語」・「英語」教科書における「異文化間交流」像--- 「コミュニケーション能力の育成」の前提を問う(その 3) ---
 仲 潔/岩男 考哲

外国にルーツを持つ子どもたちへの言語教育支援--- 日本のバイリンガル・サポーターへの調査から ---
 大山 万容

日本語を教える「わたし」とその言語教育観について
 あだち ゆーこ

調査報告:
台湾の図書館とその周辺--- 日本の状況と対比して ---
 あべ・やすし

書評/書評への応答:
木村 護郎クリストフ 著『節英のすすめ 脱英語依存こそ国際化・グローバル化のカギ!』(萬書房、2016 年)
 唐須 教光

節英というひかえめでラディカルな営為
木村 護郎クリストフ 著『節英のすすめ 脱英語依存こそ国際化・グローバル化のカギ!』(萬書房、2016 年)
 かどや ひでのり

英語に厳しすぎか甘すぎか--- 『節英のすすめ』(萬書房、2016 年)の二つの書評への応答 ---
 木村 護郎クリストフ

「もと関西系テレビマン」による社会言語学的テレビ史
吉村 誠 著『お笑い芸人の言語学 — テレビから読み解く「ことば」の空間 —』(ナカニシヤ出版、2017 年)
 ましこ・ひでのり

「ましこひでのり氏の書評」に応えて
 吉村 誠

日本語能力主義をこえたとして...
クァク・ジョンナン 著『日本手話とろう教育 — 日本語能力主義をこえて —』(生活書院、2017 年)
 すぎむら なおみ

韓国手話言語法の制定とろう教育の課題について
 クァク・ジョンナン

移民政策を持たぬ国の「外国人人材」受け入れの実状と課題
布尾 勝一郎 著『迷走する外国人看護・介護人材の受け入れ』(ひつじ書房、2016 年)
 東 弘子

既刊号目次/本誌への投稿について
(頒価3000円/本体)


投稿者: webmaster 投稿日時: 2017-10-31 10:01:24 (160 ヒット)

講演会 「節英から多言語へ」開催のご案内

2017年度 日本外国語教育推進機構(JACTFL) 講演会(慶應義塾大学外国語教育研究センター共催)を下記のとおり開催いたします。
今回は、『節英のすすめ』(萬書房)の著者である木村護郎クリストフ氏(上智大学)をお招きし、「節英から多言語へ」というタイトルでご講演をいただきます。また平高史也氏(慶應義塾大学)にもテーマに関連するお話をいただき、フロアーとの議論のきっかけをお作りいただきます。その後、フロアーの皆さんとともに、討論をしたいと考えております。
どなたでもご参加いただけます。 お申し込みは以下のサイトからお願いいたします。

https://docs.google.com/forms/d/e/1FAIpQLSfJYqvHDgZbDzLCNWeZE6Yu5tCRNRxGWA5oA4MUs02czQcTng/viewform

1)日時:11月19日(日)15:00 – 17:30(途中に休憩30分)
2)場所:慶應義塾大学日吉キャンパス来往舎大会議室
  https://www.keio.ac.jp/ja/maps/hiyoshi.html
3)募集人員:80名
4)講演者:木村護郎クリストフ氏、平高史也氏
5)講演題目:「節英から多言語へ」
6)形式:講演とディスカッション
7)会費:無料

----------------------------------------------------------------------------------
一般社団法人 日本外国語教育推進機構(JACTFL)
ホームページ http://www.jactfl.or.jp/
◆お問合わせは、下記アドレスまでお願いします。
 office@jactfl.or.jp


投稿者: webmaster 投稿日時: 2017-10-6 2:51:34 (512 ヒット)

多言語社会研究会第73回東京例会を、下記の通り開催いたします。
みなさまふるってご参加いただきますよう、お願いいたします。

-----------------------------------------------
第73回多言語社会研究会(東京例会)
日時:2017年10月21日(土)午後2時〜6時
場所:東京外国語大学本郷サテライト4Fセミナールーム
   http://www.tufs.ac.jp/access/hongou.html
資料代:500円


報告1
【報告者】跳弟(立教大学 社会学部 教育研究コーディネーター)
【タイトル】ネットにおける災害時外国人犯罪の流言に関する研究──熊本地震発生時のTwitterの言説を事例として──

【要旨】先行研究において、大規模な自然災害の発生時には、日本人と外国人の垣根を超えた共助が一部で見受けられる一方で、外国人による犯罪といった流言の拡散という現象がみられることが指摘されている。だがこれらの指摘の多くは、オフライン(ネット以外)の現象に限られている。そこで本研究は、2016年の熊本地震発生時におけるTwitter上でのやりとりを主な分析対象として、オンライン(ネット上)における災害時の外国人犯罪の流言について把握することを試みる。ネット上のデータはデジタルという性質上、入手が容易な面がある一方で、その量の膨大さによる分析上の困難があったが、昨今は分析手法が確立されつつあり、本研究では、そのなかの一つである計量テキスト分析という手法を用いている。


報告2
【報告者】ましこ・ひでのり(中京大学 国際教養学部)
【タイトル】「ヘイトスピーチ=暴力をあおる差別的言動」という概念の再検討──沖縄での「土人/シナ人」「日本語分かりますか」発言の含意から

【要旨】ヘイトスピーチは、ヘイトクライムを誘発する危険性など、憎悪/嫌悪と暴力の拡大再生産の意図などが問題視されてきたが、発信者に被害者への憎悪や意図が確認できない事例はすくなくない。在沖米軍基地新設反対派住民への暴言とそのとりあげられたかたを解析することで、従来のヘイトスピーチ周辺の議論・前提が不充分であることをあきらかにする。


投稿者: webmaster 投稿日時: 2017-5-28 9:22:34 (653 ヒット)

多言語社会研究会第72回東京例会を、下記の通り開催いたします。
みなさまふるってご参加いただきますよう、お願いいたします。

-----------------------------------------------
第72回多言語社会研究会(東京例会)
日時:2017年6月24日(土)午後2時〜6時
場所:東京外国語大学本郷サテライト4Fセミナールーム
   http://www.tufs.ac.jp/access/hongou.html
資料代:500円


報告者1 半嶺まどか ハンニャーヌマドカ(ラップランド大学教育学部博士課程在籍)

「ラップランドでのサーミ諸語、琉球孤での琉球諸語における言語復興と言語教育」

 サーミ諸語と琉球諸語は、世界の異なる地域でそれぞれ話されている少数言語である。サーミ諸語は、現在9から10の異なる言語がノルウェー、スウェーデン、フィンランド、ロシアで話されている。琉球諸語は、現在5から6の異なる言語が沖縄県と鹿児島県にまたがる琉球孤で話されている。どちらの場合も、それらすべてが危機言語となっている。
 今回の発表では、これらの言語が話されている2地域でのフィールド調査から得られたデータを基に、2地域の比較を行う。サーミ諸語に関しては、フィンランドの北部のイナリ村とウツヨキ村、琉球諸語に関しては、私の地元でもある沖縄県石垣市字宮良村でそれぞれ5ヶ月ほどのフィールド調査を行った。対象は、イナリ、ウツヨキでは幼稚園、小学校、中学校、専門学校でサーミ語を教える教員10名。そして、石垣市宮良では、地元の小学校で八重山語宮良方言を教えている教員2名である。石垣市宮良での調査は、これからも続けるため、対象とする者の人数が増えることが予想される。まず、言語の話せれている地域の歴史的背景、言語政策、言語態度、言語復興の状況について述べ、さらにフィールド調査で得られたインタビューを紹介し、少数言語の話者と言語教師のアイデンティティ構築が多様で複雑であること、それからより話者の少ない言語においては、特に言語教育に携わる教員の負担が多いこと、さらにより小さなコミュニティにおいて、言語教育の経験を分析する。

キーワード 言語復興 サーミ諸語 琉球諸語 教員アイデンティティ 少数言語教育


報告者2 石部尚登(日本大学)

「1866年時点のベルギーにおけるオランダ語、日本におけるオランダ語」

 1866年8月1日(慶應2年6月21日)、日本とベルギーは⽇⽩修好通商航海条約を江戸で締結した。日本にとって9番目の西洋諸国との条約であった。それ以前の条約と同様、両国間の交渉は主としてオランダ語もってなされた。また、条約自体は日・仏・蘭語の3言語で作成されたが、「和蘭譯文を以て原と見るへし」とオランダ語が正文とされた(第22条)。
 こうした最初の日白交流における言語選択は、一方では日本における蘭学の伝統、他方ではオランダ語がベルギーの国語のひとつであるという事実から、ある意味では必然であったとも考えられる。とはいえ、当時の両国の社会言語学的状況に鑑みれば、そうした理解だけでは十分ではない。そこで本発表では、両国の史料を用いてそれぞれの言語状況を検討し、この時代、両国ともに社会言語学的状況(言語制度、言語意識、言語選択)の大きな転換期に置かれていた中でのオランダ語の選択であったことを示したい。
 具体的には、ベルギーでは独立以来のフランス語を事実上の唯一の公用語とする言語制度が続いており、オランダ語の言語運動がようやく政治化しはじめる時期であった。当然、ベルギー政府にとってオランダ語の選択は意図したものではなく、日本との条約は結果としてフラーンデレン問題に影響を与えることになった。かたや日本では、蘭学の伝統はなお強固ではあったが、オランダ語以外の言語の重要性もすでに認識されていた。とりわけ安政五カ国条約以降、「当事国言語への志向」が高まりを見せていた(清水康行『⿊船来航 日本語が動く』)。
 実際に、修好条約締結の2カ月後に調印された附屬約書は、「雙方全權各其國語を以てこれを記せり」(第11条)として、日本語とフランス語で作成された。フランス語がベルギーの「国語」であることが両国の共通した認識であったことが示されている。

キーワード 正文 外交言語 修好通商条約 ベルギー 日白交流


投稿者: webmaster 投稿日時: 2017-4-6 18:28:49 (561 ヒット)

多言語社会研究会第71回東京例会を、下記の通り開催いたします。
みなさまふるってご参加いただきますよう、お願いいたします。

-----------------------------------------------
第71回多言語社会研究会(東京例会)
日時:2017年4月22日(土)午後2時〜6時
場所:東京外国語大学本郷サテライト5階セミナー室
   http://www.tufs.ac.jp/access/hongou.html
資料代:500円

報告者1 周楊措(ドゥ ヤンツァオ 広島大学・国際協力研究科)
チベット・アムド地域におけるチベット村の言語使用状況
―青海省黄南蔵族自治州尖扎県カルマタン村のホンツァン(དཔོན་ཚང)のO氏の家庭を事例に―

 青海省黄南蔵族自治州尖扎県(チベット語:གཅན་ཚ་རྫོང་།)カルマタン村(漢語:尕麻唐、チベット語:སྐར་མ་ཐང་།)は、チベット族を主とし漢族が雑居している村であるため、地元ではチベット村と呼ばれている。
 本発表は、カルマタン村の言語使用状況に焦点をあて、「漢族のまま」残っているO氏の家庭を事例とし、世代ごとに漢語青海方言と普通話、チベット語・アムド方言をどのように使い分けているのか。そして、なぜ世代ごとに使用言語が微妙に移り変わるのか、その理由を明らかにするのが目的である。
 O氏の家庭は、1918年に西寧盆地東部から移住し、今日まで98年間チベット族の村で生活している家庭に由来し、日常、上の三言語を話し相手と場所によって使い分けている。第一世代であるO氏の母語は漢語青海方言であり、彼の妻の母語はチベット語アムド方言である。第二世代である長男はチベット族の村出身であることに加え、民族学校に通ったことがあるため、漢語青海方言と普通話、チベット語・アムド方言、三つの言語に堪能である。しかし、長男の嫁は漢族の村の出身なので、漢語青海方言しか話せない。この嫁が家族に加わったことにより、第三世代の母語は漢語青海方言となり、家庭内での言語も漢語青海方言へと変わった。


報告者2 柳田亮吾(大阪大学大学院 工学研究科・国際交流推進センター助教)
イン/ポライトネスと利害・関心

 本発表では、話し手・聞き手が相互行為に持ち込む利害・関心に注目し、2014年東京都議会やじ問題について分析する。イン/ポライトネス現象を分析するにあたって、利害・関心の理論的な整理を行う。
1. 資源としてのイン/ポライトネス
社会において言語(変種)的資源とその獲得の機会は不均衡に分配されている(ブルデュー 1993)。従って、相互行為者が利用可能な対人関係的言語・談話資源は何なのか、そして、その資源をいかに有効活用しているかを分析する必要がある。
2. 手段としてのイン/ポライトネス
2.1 相互行為を通して他者との関係を維持・発展を動機づけているのは、その関係性から得ることのできる資源という見返りである(Lin 2002)。つまり、対人関係的談話実践はこの資源へのアクセスという利害・関心に導かれている、といえる。
2.2 イン/ポライトネスパフォーマンスは、他の相互行為参加者に評価されることで、その人の「品行」を示す(Goffman 1967)。従って、相互行為者は2.1の利益を追求するにあたってそれが示す自身の品行を考慮する必要があり、2.1と2.2の利益のバランスを取ることが肝要となる。
 以上を踏まえ、データ分析では、東京都議会という実践の共同体においてやじを飛ばされた塩田議員と野次を飛ばした鈴木議員はどのような資源を用いたか(1.)、そこで追及されていた利益は何か(2.1、2.2)に加え、その相互行為が塩田のツイートによってより広範な社会にさらされた際、それぞれの議員はどのような評価を受け、どのような利害を被ることになったか(2.2)について考察したい。

<参考文献>
ブルデュー・ピエール(1993)『話すということ―言語的交換のエコノミー』稲賀繁美訳 藤原書店
Goffman, Erving (1967) Interaction Ritual -Essays on Face-to-Face Behavior. New York: Pantheon Books.(浅野敏夫訳 2002 『儀礼としての相互行為−対面行動の社会学〈新訳版〉』法政大学出版局)
Lin, Nan (2002) Social Capital: A Theory of Structure and Action. London, New York: Cambridge University Press.(筒井 淳也ほか訳 2008 『ソーシャル・キャピタル―社会構造と行為の理論』ミネルヴァ書房)


投稿者: webmaster 投稿日時: 2017-2-1 17:37:37 (760 ヒット)

共同シンポジウム 「ディアスポラのことば〜シマをはなれたシマことば」

【共催】多言語化現象研究会(第64回例会)/琉球継承言語研究会(第9回シンポジウム)/大阪大学未来共生イノベーター博士課程プログラム
【場所】関西学院大学梅田キャンパス(阪急アプローズ・タワー10F:1004 号室)
【日時】2017年3月18日(土)13:00開会/同19日(日)11:00開会
【主旨】
 関西には多くの琉球列島出身者が生活する一方、コリアンや中国、中南米など移民出身者も少なくありません。いままで少数言語としては、もっぱら各国土着の言語が重視されてきました。しかしディアスポラ言語という共通した観点から、双方のコミュニティの言語伝承や使用実践の比較や研究情報を交換することは、今後の研究の発展に資するところが大きいと思われます。
 今回、大阪でのこのシンポジウムは、沖縄、関西それぞれをベースとする琉球継承言語研究会--Ryukyuan Heritage Language Society -と多言語化現象研究会、大阪大学未来共生イノベーター博士課程プログラムの共催として実現されます。

【プログラム】
2017年3月18日(土)

全体司会 山下仁(大阪大学)
13:00~13 10 開会の挨拶 パトリック・ハインリッヒ(ベネチア大学)
13:10~14:30 基調講演1 金城 馨(関西沖縄文庫主宰)「関西沖縄文庫の活動とその歴史」

発表司会 窪田暁(奈良県立大学)
14:40~15:25 研究発表1 宮本愛梨(スペイン語通訳翻訳者)「越境する踊りと人―ズンバとマリネラの例から」
15:30~16:15 研究発表2 宮良信詳(琉球大学)「しまくとぅばの普及に関する最近の動向と課題」
16:20~17:05 研究発表3 藤井幸之助(同志社大学)「在日朝鮮人コミュニティにおける言語継承の歴史と現状」
17:30~    懇親会(会場・会費などは当日までにお知らせします)

2017年3月19日(日)

発表司会 新垣友子(沖縄キリスト教学院大学)
11:00~11:45 研究発表4 仲田幸司(大阪大学大学院) 「沖縄の高齢者介護施設におけるしまくとぅば使用の意義~言語使用実態の考察を通じて~」
11:50~12:35 研究発表5 崎原正志(琉球大学大学院) 「英語で学ぶウチナーグチ教科書"Rikka, Uchinaa-nkai" の現状と課題、今後の展望について」

休憩

司会 杉田優子(デュースブルグ大学)
13:30~14:15 研究発表6 國吉眞正(沖縄語を話す会)「開かれたコミュニティ『沖縄語を話す会』~今何が問題で、どう解くかを考える~」
14:20~15:05 研究発表7 野上恵美 (神戸大学) 「在日ベトナム人 2 世の言語環境について―「喪失」したものはなにか?」

ミニシンポジウム「シマをはなれたシマことば」
司会 庄司博史(国立民族学博物館)
15:10~15:55 基調講演2 前田達朗(大阪産業大学)「琉球弧出身者と朝鮮出身者コミュニティの異同とその言語〜オールド・カマーであること」
16:00~16:55 パネルディスカッション
       石原昌英(琉球大学)・安田敏朗(一橋大学)・前田達朗(大阪産業大学)
16:55~17:00 閉会の挨拶 庄司博史(多言語化現象研究会)


投稿者: webmaster 投稿日時: 2016-12-30 17:38:24 (702 ヒット)

第70回多言語社会研究会(東京例会)のご案内
日 時:2017年1月28日(土)午後2時〜6時
場 所:東京外国語大学本郷サテライト4階セミナー室
    http://www.tufs.ac.jp/access/hongou.html
資料代:500円

報告者1:根本峻瑠(神戸大学大学院人文学研究科博士後期課程/日本学術振興会特別研究員DC)
題  目:1910年の多言語教育−−オーストリア=ハンガリー帝国トリエステ国立ギムナジウムを事例に
報告概要:
 多言語・多民族国家であったオーストリア=ハンガリー帝国では、様々な方策を通じてネーション間の均衡を作り出す試みがなされていた。本報告では博士論文(2016年12月提出)を元に、イタリア語とスロヴェニア語の言語境界地域であるトリエステに設置されていた、ドイツ語を主要教授語とする中等教育機関であるトリエステ国立ギムナジウムにおける多言語教育の内実を、リュブリャーナとツェリエの国立ギムナジウム、トリエステ市立ギムナジウムとの比較を通じて明らかにする。

報告者2:赤桐敦(京都大学大学院人間・環境学研究科博士後期課程)
題  目:プロテスタント宣教師の文字教育から中国人による言語改革への「言文」の変容
報告概要:
 19世紀末に開始された中国人による言語改革は、アヘン戦争(1840-1842)後に中国に上陸したプロテスタント宣教師の活動に遡ることが、John De Francis (1950)、藤井(宮西)久美子(2003)、村田雄二郎他(2005)、蒲豊彦(2009)らの先行研究によって示唆されている。本発表は、まず1850年代の厦門において、宣教師が民衆に対して行った言語教育を考察し、彼らが漢字・漢文ではなく、民衆の俗語を用いることで、近代西洋文明を中国の民衆にもたらそうとしたことを論じる。続いて、1890年代の中国人による言語改革が、その最初期において、宣教師の影響をうけて、民衆の俗語を用いた「言文一致」による近代的教育の実現を目指していたことを確認する。そしてさらに1900年代に対日関係の変化によって、言語改革の主眼が、官話と漢字・漢文による「国語統一」へと移行した過程を考察する。本発表は、J. V. N. Talmage(1819-92)、 C. Douglas(1830-77)、盧戇章(1854-1928)、梁啓超(1873-1929)、王照(1859-1933)、呉汝綸(1840-1903)らの活動を、同時代の一次資料によって検証し、背景に存在した複雑な人間関係や政情と、その言説との関係を明らかにすることを目指す。


投稿者: webmaster 投稿日時: 2016-11-4 16:33:25 (1654 ヒット)

以下の要領で第9回研究大会を開催します(チラシはこちらから)。

【日 時】2016年12月3日(土)
【会 場】東京大学 東洋文化研究所
【参加費】1000円(どなたでも参加できます)
【主 催】多言語社会研究会/東京大学東洋文化研究所
【予 稿】各発表の予稿は、プログラムのタイトルをクリックすると閲覧できます。表示が崩れる場合、再読み込みしてください。(プリントしたものを希望される方は当日500円にて販売。部数に限りあり)。
【テーマ】ことばとアイデンティティ、そして商品化
【主 旨】
 アイデンティティは、その場その場で行われる多様で可変的なことばの選択として、あるいは選択肢(カテゴリー)それ自体の構築プロセスとして現れることが近年の研究で指摘されている。これは言語的アイデンティティがもはや話者と分ちがたい生まれながらの属性としてではなく、自覚的に「装い」「着脱」可能なものであることを示唆している。また、人の移動のみならず、場所に縛られないネットワーク上のコミュニケーションが飛躍的に増大する中で、地元のことばを「母語」として「自然」に習得する、といった言語と人の宿命的な結びつきは弱まりつつある。
 話者はあることばを選ぶことによって自分を演出し、より高い価値のある「商品」として売り出すことも可能であり、一方で、好ましい選択肢として立ち上がるさまざまなことばもまた、「商品」として売買されるような存在に転化しつつあるとも言える。
 ―商品化しつつあることばと、その選択に伴う話者のアイデンティティのゆらぎについて考える。

【プログラム】
12:00      受付開始
12:30〜12:40 開会あいさつ

<自由テーマの部>
12:40〜13:25 氏家佐江子(SBFコンサルティング)
       「企業における社内英語公用語政策および英語使用の現状とその影響」

〔13:25〜13:30 休憩〕

<大会テーマの部>
13:30〜14:30 基調講演 井上史雄(東京外国語大学 明海大学名誉教授)
       「言語景観の経済と不経済 ーー国際英語と危機言語ーー」

14:30〜15:00 柳田亮吾(大阪大学工学部 国際交流推進センター 助教)
       「イン/ポライトネスとアイデンティティ―利害・関心に注目して―」

〔15:00〜15:10 休憩〕

15:10〜15:40 渡邊則子(京都大学他)
       「日本漢字能力検定と商品化」

15:40〜16:10 歌田英(東京大学人文社会科学研究科修了)
       「商品としての言語:言語観のフレームワーク分析と言語権をめぐる考察」

〔16:10〜16:30 休憩〕

16:30〜18:30 質疑および全体討論
18:30     閉会
 
〔終了後、会場近くにて懇親会〕

【お問い合わせ】
多言語社会研究会(塚原)congres@tagengo-syakai.com
『ことばと社会』事務局(三元社)電話 03-5803-4155


投稿者: webmaster 投稿日時: 2016-10-5 22:21:12 (659 ヒット)

以下の要領で第69回多言語社会研究会(東京例会)を開催します。ふるってご参加ください。

第69回多言語社会研究会(東京例会)のご案内
日時:10月22日(土)午後2時〜6時
場所:東京外国語大学本郷サテライト
   http://www.tufs.ac.jp/access/hongou.html
資料代:500円


報告1 貞包和寛(東京外国語大学大学院博士後期課程)
題目:「エスノレクト」の概念について ―米・ポ・日の言語学者の使用から―
報告概要:
 あらゆる学術分野は、その分野において重要な概念を表示・操作するために、分野独自の術語を用いる。このような術語は、我々が日常的に用いる言葉と比較的一致しているものもあれば、全く別のものも存在する。前者の例としては「方言」、「修飾」などが挙げられるであろうし、後者としては「統語」や「言語コード」などが挙げられよう。
 概して言えば、術語とは概念操作のための道具である。無論、ある術語の使用において、研究者の間でも意見の分かれる場合がたびたび見受けられるが、術語と言えど言語記号であり、恣意性から逃れられない。従って、使用する人間が異なれば、術語の意味する範疇も異なることは、ごく自然なことではある。しかしながら、時にそのような齟齬が、見過ごすことの出来ないほど著しくなる場合がある。
 本発表で注目する「エスノレクト」も、そのような術語のひとつである。「エスノレクト」という術語とそれが示す概念は、言語学では比較的近年になって用いられ始めたもので、本来的には 1980 年代にアメリカの社会言語学界において用いられはじめた ethnolect という術語に由来する。ポーランドでは 1989 年に Alfred Majewicz が、etnolekt という形でこの術語を導入し、以降は主にマイノリティ言語研究において頻繁に使用されるようになった。一方我が国では、2011〜2014年度に行われた科研費助成事業「エスノレクトから見る日本の多言語社会化」(研究代表者:藤井久美子)があるものの、いまだ十分に浸透している術語とは言い難い面がある。
 これら三つの概念、すなわち本来的な ethnolect、ポーランドの etnolekt、そして日本の「エスノレクト」は、字面から一見すると表記上の違いしか存在しない。ところが実際には、この三者の間には大きな概念上の差異が見受けられる。端的に言えば、以下のようにまとめられよう:
1. 社会言語学一般:移民の言語習得に際して観察される母語の影響の総称
2. ポーランド:「言語」か「方言」か、帰属の分かれる言語に対する中立的呼称
3. 日本:所与の社会における多言語性を記述するための概念装置
 本発表では、これらの差異をより詳細に分析する。その上で、これらの差異の背景には研究者のどのような意図があるかを明らかにしたい。
キーワード:エスノレクト、ターミノロジー、移民、ポーランド


報告2 沓掛沙弥香(大阪大学大学院言語文化研究科博士後期課程)
題目:多言語社会タンザニアにおける言語状況に関する一考察―6つの調査地の比較から
報告概要:
 タンザニアは、国内に120以上の民族・言語を抱える多民族・多言語国家である。一方で、アフリカ大陸固有の言語であるスワヒリ語が唯一の国家語とされ、国民のほとんどが肯定的に受容し使用している状況がある。しかし、近年の傾向としては、英語使用を重視する傾向が強まっている。また、120以上あると言われる民族語に関しては、具体的政策は打ち出されておらず、多くの民族語がゆるやかに衰退を続けている。
 報告者はこれまでの研究において、先行研究で都市部のみの問題として語られてきた英語偏重主義的態度が農村部にも見られ始めたことから、全国的な英語志向の高まりを指摘した。一方、2014年ごろから、タンザニアの言語政策においてスワヒリ語使用を推進する動きへの揺り戻しが目立つようになった。これらの背景には、グローバル化に伴う英語の重要性の増加と、世界的な母語教育奨励の動きがあると考えられる。このような世界的潮流の中で、タンザニアの人々はどのような言語使用を行い、どのような言語態度を示しているのだろうか。
 今回の報告では、まず、タンザニアにおける言語状況を歴史的に整理する。その上で、報告者が2015年9月から12月と2016年7月から9月の合計7ヶ月間に行ったタンザニア南部地域の6つの調査地でのフィールド調査から、人々の言語使用と、言語態度について社会的背景を踏まえて考察を行う。さらに、多言語社会タンザニアにおける英語の浸透の可能性と、民族語存続の可能性を考察する。


投稿者: webmaster 投稿日時: 2016-6-15 23:08:17 (691 ヒット)

First International Conference on Revitalization of Indigenous and Minoritized Languages
標記のイベントが2017年4月19日から21日までバルセロナで開催されます。7月30日締切で発表を募集中です。

詳しい情報は以下にあります。
https://icriml.indiana.edu/


なお、"Proposals are welcome in any language with a translation to Catalan, Spanish, or English."とのことです。


塚原信行


投稿者: webmaster 投稿日時: 2016-6-2 18:21:00 (1388 ヒット)

多言語化現象研究会 第61回研究会のおしらせ 

【日 時】2016年7月9日(土)  午後1時30-5時15分
【場 所】大阪大学 言語文化研究科 B棟1階大会議室(大阪大学豊中キャンパス) 
【参加費】500円(資料代ほか)  

1時30分-3時15分
1)報告者: 安田敏朗(一橋大学) 
  テーマ:「読まなくてもわかる『漢字廃止の思想史』(平凡社、2016年)――自著解題――」

<要旨> 
近代以降の日本において、漢字を廃止、もしくは制限していこうという議論はくりかえし、さまざまな担い手のもとでなされてきた。また、その論拠は時代によりかなりの多様性をみせている。廃止を主張すること自体は簡単であるが、たとえば「漢字は日本人の心性をあらわす」などという言説が一方にある以上、その実践をめざすにはそれ相応のエネルギーが必要とされ、そのエネルギーの源泉を時代時代の先端的な思想動向に求めていく傾向を、廃止論者のなかにうかがうことができる。文明化、効率化、総力戦、マルクス主義、民主主義などなど、である。戦時中には漢字制限をめぐって「思想戦」さながらの論戦がなされたこともあった。しかしながら、依拠すべき「思想」がたとえば時代おくれになったりすると、廃止論の根拠をうしなうことにもなる。たとえば、かつては文明国間の競争に伍していくために日本語の機械化が不可欠であり、そのためにカナタイプライタが必須だといわれたが、現在では技術革新によってほとんど制限なく、漢字をまぜた日本語を打つことが可能になった。本報告ではこうした状況もふまえて、漢字廃止論が依るべきあたらしい「思想」にどのようなものがありうるのかもふくめて論じていきたい。

 (休憩 3時15分−3時30分)

3時30分-5時15分
2)報告者: 寺尾智史(宮崎大学)                                            
  テーマ:「初等義務教育での英語と漢字――その3」

<要旨>
2011年度より、小学校において新学習指導要領が全面実施され、小学5・6年生で年間35単位時間の「外国語活動」、実質は英語の押しつけ(教育現場では一般的に「英語活動」と呼称)が必修化された。さらに、2020年完全実施のタイムスケジュールで、小3から英語活動は必修化、小5・6は成績がつく教科へと強化、移行が行われている。こうした中、隠れた「外国語活動」の側面を持つ「漢字教育」=「漢字活動」の質的・量的ダウンサイジングは必然と思われるが、この相関についての議論は抜け落ちてしまっている。これまで2回にわたって行われた活発な議論を振り返りつつ、英語と漢字をどう教えるのか、もしくはどう削り込むのかを中心に、初等義務教育におけるコミュニケーションに関わる教育の取り扱い方についてさらに考察を深める機会としたい。 
 

(研究会終了後、近くで懇親会を予定しています。)
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
大阪大学豊中キャンパス (阪急石橋駅、大阪モノレール柴原駅より徒歩15分)
http://www.osaka-u.ac.jp/ja/access/
言語文化研究科B棟1階大会議室は正面玄関よりお入りください。
初めてのかたも歓迎します。準備の都合上、出席の方のみ、できれば懇親会出席の有無とともに、必ずメールで事務局までご連絡ください。特に質問などない限り出席通知には受領確認の返事はしませんのでご了承ください。
研究会への連絡、質問は事務局へお願いします。
多言語化現象研究会事務局: tagengoka-gensyoo@idc.minpaku.ac.jp
研究会ホームページ: http://www.r.minpaku.ac.jp/hirshoji/tagengo/


投稿者: webmaster 投稿日時: 2016-5-22 6:39:40 (1151 ヒット)

多言語社会研究会例会を下記の通り開催致します。ふるって御参加いただきますようお願いします。


第68回多言語社会研究会(東京例会)のご案内
日時:6月25日(土)午後2時〜6時
場所:東京外国語大学本郷サテライト4階セミナー室
   http://www.tufs.ac.jp/access/hongou.html
資料代:500円


報告1 脇阪 紀行(大阪大学未来戦略機構)
題目:薄暗がりの中の「ことばの暴力」
報告概要:
 2000年代初頭から顕在化したヘイトスピーチの運動に対して、社会全体の危機感が高まり、反ヘイトの運動やインターネット・プロバイダーによる規制、さらに2016年5月には、ヘイトスピーチ規制法が制定される。これによって、在日コリアンに象徴されるヘイトスピーチへの抑制効果が期待されるが、果たして、これでヘイトスピーチが根絶するのだろうか。
 日本には多くの懸念すべき状況がある。
 まず、在特会など一部集団によって在日コリアンや韓国・中国への差別・侮蔑を叫ぶデモは今なお続いている。ツィッターの言語分析や質問紙調査から、若者世代にレイシズムの偏見の存在を裏付ける研究もある。仮に差別的表現が今後、減ったとしても、差別をどこかで許容する感覚はなお潜み続けるのではないか。そんな懸念を裏付ける一つは、インターネット空間におけるヘイト表現である。在日コリアンのみならず、女性などへの嫌がらせの書き込みが後を絶たない。2016年3月に反響を呼んだ「保育所落ちた日本死ね」のブログでも、政府の待機児童政策を前進させる世論の後押しを生んだ半面、ブログに多くの女性蔑視、韓国批判の書き込みが見られた。
 これまでの研究から、インターネットへのヘイト表現を書き込むのは0・5%程度とみられ、「炎上」が起こるきっかけとなる書き込みをするのは、特異な性格をもった、ごく一部の人間だとされる。にもかかわらず、ネット空間で多くのヘイト表現が増殖している。
 フランスの社会学者ドニミク・カルドンは、ネットの普及によって公共空間の拡大と社会や民主主義の変容が起きていると指摘し、公共空間とは切り離された「薄暗がり」にとどまっていた人々の「つぶやき」や「おしゃべり」が、ネットによって、公共空間に広がる将来を楽観している。しかし、「陰口」や「憎悪表現」が公共空間に侵入し。「ことばの暴力」となっている現実を見過ごすことができない。
キーワード:ヘイトスピーチ、インターネット、薄暗がり、公共空間


報告2 山下 仁(大阪大学)
題目:ヘイトスピーチの問題を社会言語学から考える
報告概要:
 前発表に引きつづき、ヘイトスピーチの問題を取り上げる。本発表では、まず日本の社会言語学の分野ではあまりヘイトスピーチのような現象が取り上げられなかったことを確認する。これまでの社会言語学やポライトネス、あるいは語用論の研究者は、より良い人間関係を構築するためにコミュニケーションがなされる、ということを前提にして研究を行ってきた。それゆえ、ヘイトスピーチや陰口、あるいはヤジのような、よりよい人間関係を構築するのとは逆方向のコミュニケーションの問題は取り上げてこなかったのであろう。ところが、社会的なコミュニケーション上の問題は、よりよいコミュニケーションを研究しても解決することはなく、むしろ、コミュニケーションがうまくいっていない状況を研究するべきなのかもしれない。
 この点、研究というものが、「よりよい社会に貢献するべきものである」という暗黙の前提にたっていながら、結局そのような貢献からは遠ざかっているようにも思え、いくつかの考えるヒントを与えているようにも思う。
 他方、ドイツにはヘイトスピーチに関する研究書が多くある。そこで、まず、言語学の観点からヘイトスピーチを捉えたマイバウアーの議論を紹介する。ところが、音声学、形態論、意味論、語用論、ポライトネス、対照言語学といった観点からヘイトスピーチをとらえたとしても、あまり有意義とは思えないので、他のいくつかのドイツ語で書かれた論文を参考にしながら、問題の所在を考えてみたい。最後に、「ことばの暴力」としてのヘイトスピーチについて考えるため、「構造的な暴力」について語ったバベロフスキーの議論を取り上げる。
キーワード:ヘイトスピーチ、構造的な暴力、社会言語学


報告3:川島 隆(京都大学)
題目:「フクシマ」をめぐるドイツの新聞報道
報告概要:
 2011年3月の東日本大震災とそれに続く福島第一原発の事故は、ドイツでも大きく報じられた。その際、ドイツのマスメディアは地震・津波の被害を十分に報じず、その一方で原発事故に対して「ヒステリー」的な反応を示して読者や視聴者の不安と「パニック」を煽ったという見方がある(熊谷2011; Zöllner 2011; Coulmas & Stalpers 2011; Felix 2012; 川口マーン2013)。たしかに、ドイツにおける報道が他国と比べて原発事故に比重を置いていたことは、その後の研究で実証されている(林2013; Kepplinger & Lemke 2014)。しかし、その傾向はメルケル政権の原発稼働延長政策が議論を呼んでいたドイツの政治状況を反映したものであり、ことメディア報道のあり方がその後の脱原発の世論に決定的な影響を与えたという事実もない(Weiß, Markutzyk & Schwotzer 2014)。日本の原発事故をめぐるドイツの報道がセンセーショナルで感情的な「偏向報道」であったとの見解は、それ自体が感情的な臆断にすぎないのである。
 以上の前提に立ち、本発表では、「ヒステリー」および「パニック」という言葉が日本の震災と原発事故をめぐる文脈でどのように用いられたかを、ドイツの有力な全国紙を例に検証する。取り上げるのは、原発に批判的な中道左派の『南ドイツ新聞』、原発推進の立場をとる右派の『ヴェルト』、および原発推進から脱原発へと主張を変化させたリベラル保守の『フランクフルター・アルゲマイネ』の三紙である。新聞記事および読者投稿の分析を通じ、ドイツ人は放射能のリスクに対して過剰に反応する(「ジャーマン・アングスト」)という、原発推進派が反原発・脱原発派を揶揄するにあたり動員される言説の枠組みに上記の言葉の使われ方が合致することを示す。ひいては、こうした言説が、異なる立場の人々のあいだの対話を阻害するコミュニケーション断絶の手段となっている事態について考えてみたい。
キーワード:原発事故、新聞、「偏向報道」、ジャーマン・アングスト、言説分析


投稿者: webmaster 投稿日時: 2016-2-24 10:13:58 (706 ヒット)

多言語化現象研究会 
第60回研究会のおしらせ 

日時: 2016年3月26日(土)  午後1時00分−6時15分
場所:関西学院大学梅田キャンパス 1406室
    (大阪市北区茶屋町19-19 アプローズタワー10階)
    阪急「梅田駅」下車 http://www.kwansei.ac.jp/kg_hub/access/ 
参加費:500円(資料代ほか) 

開会のあいさつ                    1時00分

1)報告者: 韓 娥凜 (Han Ah-reum) (大阪大学大学院文学研究科) 
                           1時15分−2時45分
テーマ:「政治家はどのようにして談話を構築していくのか
         ―日韓の政治演説にみられる論理展開を中心に ―」
<要旨> 
政 治家の談話では「自分の主張をつらぬき、支持を得る」という究極的な目的を達成するため、話題の選択から表現まで様々なこと ばのストラテジーが図られてい る。これらを談話の中にどう反映させ、どのような結び付きで展開させるかは、政治的コミュニケーションの成功とも関わってく る。本発表では日韓の政治演説 にみられる論理展開に注目し、両国の政治家が自分の意図・目的をディスコースの中にどのように反映させ、談話を作り上げてい くのかについて考察する。

  (休憩 2時45分−3時00分)

2)報告者: 中西健一郎(東京大学大学院総合文化研究科修士課程修了)  
                           3時00分−4時30分
   テーマ:「多言語表記の現状と課題」
<要旨> 
多文化共生の推進やインバウンドの振興により、街中の標識で英語(ローマ字)のほか、中国語 (簡体字・繁体字)や韓国語 (ハングル)を見かけるようになった。しかし、その表記を見ると、誤りや揺れが多く見受けられ、そのことは在住外国人や訪日 外国人の日本に対する不満の上 位にも挙げられている。多言語表記を行う国や地方自治体、公共交通機関において、多言語表記はどのように行われているか、ま た、誤りや揺れはなぜどのよう に発生するか、さらに、どのようにしたら誤りや揺れを解消できるかを、実際の標識写真を見ながら考察する。

   (休憩 4時30分−4時45分)

3)報告者: 窪田暁 (奈良県立大学) 
    4時45分−6時15分
   テーマ:「ドミニカ系移民の言語使用の実態−日米のコミュニティ比較から−」
<要旨> 
本発 表の目的は、ドミニカ系移民の言語使用の実態を日本とアメリカにおける移民コミュニティの比較から明らかにすることである。 アメリカ東海岸の都市を中心におよそ200万のドミニカ移民が暮らし ている。移民コミュニティではスペイン語のみで生活することができる一方で、コミュニティ外部との関係は希薄である。一方、 日本に暮らすドミニカ系移民は、日系人が中心でその数は200人 程度である。そのため、ドミニカ系移民のコミュニティというよりはむしろ、スペイン語話者であるペルー系の人びととスペイン 語を基盤にしたコミュニティを形成している。本発表では、とくにこうしたコミュニティの置かれている状況がどのように移民の言語使用に影響をあたえるのか という点に注目していきたい。
 
  (研究会終了後、近くで懇親会を予定しています。)
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
会場 となる関西学院大学大阪梅田キャンパスは阪急梅田駅 茶屋町口改札口より北へ徒歩5分のアプローズタワーにあり、同じ建物内にホテル阪急インターナショナル、梅田芸術劇場などがあります。
初めてのかたも歓迎します。準備の 都合上、出席の方のみ、できれば懇親会出席の有無とともに、必ずメールで事務局までご連絡ください。特に質問などない限り出 席通知には受領確認の返事はしませんのでご了承ください。
研究会への連絡、質問は事務局へお 願いします。
多言語化現象研究会事務局: tagengoka-gensyoo@idc.minpaku.ac.jp
研究会ホームページ: http://www.r.minpaku.ac.jp/hirshoji/tagengo/
研究会メーリングリスト:ml-tagengoka@lang.osaka-u.ac.jp


(1) 2 3 4 ... 13 »