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三元社出版物
研究会からのお知らせ : 第61回多言語社会研究会(東京例会)【開催日:2014年6月28日(土)】
投稿者: webmaster 投稿日時: 2014-5-21 8:26:06 (997 ヒット)

第61回多言語社会研究会(東京例会)のご案内

日時:6月28日(土)午後2時〜6時

場所:東京外国語大学本郷サテライト4階セミナー室
http://www.tufs.ac.jp/access/hongou.html


報告1 平畑奈美(滋賀大学)
題目:対外日本語普及における「母語話者性」の功罪
概要:
 世界の日本語学習者数は、2012年時点で136ヵ国・地域の約400万人である。そのうちの約80%が東/東南アジアに、約15%が北米・大洋州・西欧に存在する。日本語学習者の数は、世界の中で決して少なくない。しかし偏在する傾向が強い。これは、日本語が、経済大国と呼びうる国の言語であること、ではあっても汎用性が低いという特徴によるものであろう。前者の特徴が薄れつつある今日、日本はこれまでになく、積極的に対外日本語普及を行う(もう少し正直に言うならば、海外の人に日本語を学んでもらう)必要性に迫られている。対外日本語普及の重要な鍵の一つが、「母語話者日本語教師」であり、日本国政府もかねてより、公的に母語話者教師を海外に派遣していく努力をしている。
 ただ、どのような母語話者教師が必要とされるのかについては、わかっていないことが多い。そこで平畑(2014)は、世界5地域、41か国の代表的な日本語教師に、望ましい母語話者日本語教師の資質について尋ねた。もちろんその答えは様々ではあったが、その一方で、「北米・大洋州・西欧」と、「東/東南アジア、その他の国々」の二者で、望まれる資質に大きな違いがあったということが確認された。前者では、現地語能力、在住権、現地での学歴など、教師の資質以前のものへの要求が強い。後者では、母語話者教師の威信も必要性も比較的高く、そのような条件がつけられることが少ない一方で、「人間性」というものの保持への期待が繰り返し語られる。だが、ここで言う「人間性」とは、具体的には一体どのようなものなのか。
 今回は、この調査の結果について報告し、自国外で自身の母語を教える母語話者教師たち、そしてそこで、その土地のマジョリティであり、その土地の母語を操る者でありながら、「非」という言葉をつけて表現される非母語話者教師たちの間で立ち上る「母語話者性」の意味するものと、その功罪について、会場と共に考察を深めたい。


報告2 岡村圭子(獨協大学)
題目:ドイツ在住の日系児童における言語使用状況と帰属意識についての社会学的考察
概要:
 ドイツのデュッセルドルフ市は、欧州の日系企業が拠点を置き、日本国籍を持つひとびとが多く暮らす街として知られている。日系の飲食店が集中するエリアや日本人が多く居住する区域があり、日本語話者を対象としたサービスも多い。本報告の研究対象は、日本語母語話者の親を持ち、ドイツ語を母語として育つ児童である。報告者は、かれらが通うある補習校Aを2006年度から調査してきた。そこで提供される教育プログラムは、いわゆる日本人駐在員の子どもではなく、あくまで現地校・幼稚園に通う子どもを対象としている。さらに、Aの幼稚部(就学前児童のための日本語プログラムを毎週土曜日に実施)の入園者は、ここ数年増加傾向にある。日本語を継承語もしくはひとつの文化的な教養として身に付けさせるために、日本語母語話者の母親が積極的につれてくるケースが多いという。
 本報告では、そこでの参与観察とインタビュー調査から得られた知見をもとに、多言語環境に育つ子どもたちの言語使用の状況と日本語の学習環境について、さらにかれらがどのように日本語/ドイツ語を価値づけているか、かれらの文化的・言語的帰属意識はいかにして形成されていているかについて社会学的な分析を試みたい。

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